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2019年3月22日 (金)

Digital デオクレ業界

海外旅行に行くと、ライドシェアの利便性に真っ先に気づく人も多いのではないか。ライドシェアが普及している国であればどこでも同じサービスを利用できる。まず、行き先を決め、ピックアップしてもらう場所を決めれば、到着地点までの料金を予め確認でき、渋滞で想定時間以上に時間がかかったとしても料金は予め確認した料金しかかからない。

更に、配車される車の車種、ナンバー、運転手の顔写真も事前に確認できるので、配車される車を間違えることもまずない。加えて、利用後には運転手の評価を促す画面がスマホに出てくるので、運転手は顧客満足度を上げておかないと自分の評価が低くなり、利用者から選択されないことにもなりかねない。そのため、運転手はサービス品質を一定以上に高めようとする動機も働く。まさに、運転者と利用者とシステム提供者の三方よしの形になっている。しかし、日本ではそうはいかない。道路運送法上「旅客自動車運送事業」を営むには国の許可を得ないと営業できない規制があるためだ。まさに、ライドシェア事業者にとって、日本市場の参入障壁は高い。

日本はデジタル時代への対応の遅れが、日本の生産性が低い問題に波及していると言われている。先日、日本の賃金水準が世界に劣後しているとの見出しが日経の一面を飾っていた。背景にあるのは、労働生産性の低さであり、日本の企業経営が賃上げに慎重であったことが裏目に出たとの指摘である。低賃金政策を続ける事で、生産性の低い仕事のデジタル化が進まず、付加価値の高い仕事へのシフトが進まなかった事が主要因だ。生産性も上がらず賃金も上がらない負のスパイラルである。この状況を打破したければ、賃上げショックを与えてでも生産性を上げるべきだとの主張は、説得力が上がっている。しかし、日本の大手製造業が低生産性の問題を抱えているため、平均年収も簡単には上がっていかない。そんな中、大手企業からスタートアップ企業へ転職する相場が一気に上昇を見せている。スタートアップの平均年収は、上場企業の平均年収よりも凡そ100万円程高くなっている。高い年収を払ってでも見合うだけの生産性を実現しようとする、スタートアップ企業=経営者と投資家の意思がうかがえる。いずれにしても、日本はデジタル化に向けた改革を全産業で進め、より高い生産性を追求すべきだ。

さて、話を元にもどすと、ライドシェアの利便性を享受出来ない日本では「旅客自動車運送事業」の運賃ルールを見直す動きが出始めた。あくまでも運賃ルールという名目である点が気にはなるものの、従来とは違うやり方による運賃改定である。国土交通省が主導し、乗車前に運賃を確定するサービスを全国で解禁するというものだ。これは、海外でライドシェアを経験している人から見れば、市場開放を避ける手段に映る。ライドシェアの優位性は、個々の運転手のサービスクオリティを担保する仕組みが機能していることにある。国土交通省も今回の取り組みを運賃ルール改定だけで終わらせるつもりはないのではないか。ライドシェア市場開放に向けた最初の布石なのであれば、日本の交通サービスにも大きな変化が訪れることが期待できる。将来、仮にライドシェア市場が開放され利用者が増えれば、他の交通機関にも影響を及ぼす可能性がある。既に、英米ではライドシェア利用が増えたことで、公共共通機関の地下鉄利用者減といった影響が出始めている。この結果を踏まえ、公共交通機関も根本的な生産性向上策を考えねばならなくなっている。まさに、デジタル時代の交通サービスのあり方を問い直す革新期に突入したと言える。日本においてもデジタル時代の交通サービスの革新に向け、ライドシェアの民間参入を認める規制緩和は欠かせない。Digitalにデオクレた業界の1つであるタクシー業界は、今後どこまで変わっていけるのか。市場開放無き運賃ルール改定に留まっていては、生産性向上は望めない。自ら規制の枠を取り払うことを受け入れ、デジタル時代の新しい交通サービスを日本に普及してもらいたい。

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